内容証明郵便

目的と手段を間違えない

例えば、金銭トラブルに於いて『返して』と相手方に意思表示したところで、現実の弁済がなされなければ解決したとは言えません。

その問題が法律的にどのような状態であるのかを適切に判断し、相手方の出方を予め想定した準備(法的な対応)が、紛争解決を進展させるための肝(キモ)になると言えます。

更には、トラブルの背景や相手方との関係、相手方との今後の関係についても配慮しながら解決に繋げる必要があります。場合によっては、こちらから譲歩案を先に提示してしまうといった駆け引きも時には必要です。

内容証明郵便を出す事が目的ならともかく、問題解決にあたっての一つの手段にすぎないことを御理解下さい。

内容証明郵便を避けた方が良い場合

内容証明郵便は、相手方に対する宣戦布告のようなもの。時には、相手方が弁護士を立てて応酬してくるケースもあります。

1 相手方が話し合いに応じる姿勢を見せている場合
⇒ 怒らせてしまうことで、逆効果になります
2 相手方と紛争解決後もつきあいを続ける必要がある場合
⇒ 親戚や友人、近隣住民、勤め先(会社)
3 相手に証拠を握られてはまずい場合
⇒ 自分の証拠=(イコール)相手方の証拠となります。慎重な判断が必要です

内容証明郵便を出した方が良い場合

1 契約の解除や取消し
⇒ クーリングオフ、債権放棄、時効中断したいとき
2 貸金・売買代金の請求
⇒ 支払いの督促、慰謝料請求、損害賠償請求、家賃支払い請求、
3 債権譲渡の通知
⇒ 法律で要件が定められているもの

お手軽そうに見えますが

投函時の注意点

内容証明郵便は書留なので郵便局には相手方の受領記録が残りますが、発信者は、いつ到達したのかを知ることができません。その為、配達証明を忘れずに付けます。

配達証明の手続きは、郵便局に行って、「配達証明にしてください」と言うだけです。

内容証明郵便と配達証明を組み合わせることで、『いつ』『誰が』『誰に』『どんな内容』の手紙を出したのか、相手方の『受け取った日付』『手紙を受け取ったこと』が証明されます。

この証拠能力は強力で、裁判で否定されることもほとんどありません。

“・・・証明される”の意味

“・・・証明される”の意味を裏返せば、相手方は『受け取っていない』『知らない』事を立証しない限り、主張することができない(しらをきることができない)という事です。

問題の解決には、この点が非常に重要になるのです。

争いを望んでいる人は稀でしょう。お互いに話し合いのテーブルにつく為の、”きっかけ”としても有効に使えます。

誰が何を証明してくれるのか?

『いつ』『誰が』『誰に』『どんな内容』の手紙を出したのかということを、郵便局(郵便事業株式会社)が証明してくれるものです。原本は、局内に5年間保管されます。

内容証明郵便の効果

法的な拘束力は生じません。相手方の財産への強制執行や逮捕等をする事も、できません。

1.証拠力 (郵便局が証明をしてくれる一時的効果)

例えば、契約を解除したい場合。

相手方がこちらの言い分を聞いてくれればそれで良いのですが、素直に聞き入れてくれない場合、『契約を解除します』という意思表示に、内容証明郵便を使います。

内容証明郵便によって、『いつ』『誰が』『誰に』『契約を解除します』という手紙を出し、相手方の『受け取った日付』『手紙を受け取ったこと』を郵便局が証明してくれるので、相手方は『受け取っていない』『聞いていない』事を主張することができません。

その結果として、“契約が解除できる”という効果を得られることになります。少々ややこしい理屈ですが、”法的に有効に”解除する為には、必要なことなのです。

2.確定日付を得る  (郵便局が証明をしてくれる一時的効果)

書面が作成(通知)された日付を公的に証明するものが、確定日付です。確定日付とは、証書について、その作成された日に関する完全な証拠力があると法律上認められる日付の事です。

公正証書ではその作成日付が、私署証書では登記所又は公証人役場で日付印を押印してもらった時のその日付が、官公庁の証書ではその証書に記載された日付が、それぞれ確定日付となります。

例えばクーリングオフに於いては、解約の意思表示は解約できる旨の書面を受領してから8日以内に発信しなければならないという制約があり、いつ発信したかが非常に重要になるのです。

普通郵便では郵便切手に消印が押されるが、これは単に書類の存在日付のみの証明でしかなく確定日付ではありません。即ち、あらためて発信日を証明する必要があるのです。これには相当の労力を要します。

しかしながら、内容証明郵便であれば、発信日をあらためて証明する必要がありません。

3.相手方への心理的圧迫を加える (二次的効果)

心理的圧迫を加えることによって相手方の履行を促がす事は、裁判外での紛争解決として非常に有効であると考えられています。

内容証明を受け取った相手方は、差出人の宣戦布告の強い意思を知り緊張しますし、代理人が法律の専門家であれば、裁判でも起こされるのではないかと不安になります。

このような心理的圧迫を加える事で「何とかしなければ」と思わせ、具体的な行動を促がす(貸したお金を返してもらう、滞納家賃を支払う、浮気行為をやめる等)効果が期待できます。

この二次的効果が最大のメリットとも言われています。

一方で、強迫と受け止められないように、十分な注意が必要です。

内容証明郵便を出した後

仮に相手方が受け取りを拒否したとしても、法律上は相手に到達したものとして、法的効果は発生します。

到達には、相手方が手紙の内容を読むこと(了知)迄は含まれていません。意図的な受け取り拒否には、普通郵便を並送するなどの、現場サイドでのテクニックも必要です。

相手方の不在によって配達できずに返送されてきた場合には、到達とは言えず、再度、送達する事になります。

「発送したから大丈夫」とは言えません。素人判断は、充分に注意しましょう。 相手方が素直に行動を起こす場合もあれば、何ら行動を起こさない場合も考えられます。

これまで通り、しらをきり続けるかもしれません。そうした場合は、違う交渉や調停、訴訟等を検討することになります。

送達前に、もう一度

内容証明郵便を送達する前に、ちょっと待って下さい。目的と手段が、整合していますか?

一時的な勢いで送達することは、避けましょう。他に解決手段があるかもしれません。

当事務所では、便利な「電子内容証明」と、昔ながらの「書面送達による内容証明」のいずれかを選択する事ができます。あなたの問題に応じて、効果的な方法を選択しています。